王子ホールディングス株式会社(本社:東京都中央区、社長:進藤 清貴)と三菱化学株式会社(本社: 東京都千代田区、社長:石塚 博昭)は、2009年10月より、セルロースナノファイバーに関する共同研究を行っており、このたび、王子ホールディングス株式会社・東雲研究センター(東京都江東区)にセルロースナノファイバーの連続シート化設備を設置し、サンプル製造および供給を開始することといたしました。

1.セルロースナノファイバーの特長
シートの形成材料であるセルロースナノファイバーは、植物繊維(パルプ)をナノオーダー(1mmの百万分の一)にまで細かく解きほぐしたもので、髪の毛の2万分の1程度の太さになります。線熱膨張係数(=温度変化に伴う伸縮の度合い)はガラス繊維並みに小さく、弾性率はガラス繊維より高い(=硬くて丈夫)という優れた特性を有しています。また、セルロースナノファイバーは植物由来であることから、紙と同様に環境負荷が小さく、リサイクル性に優れた材料であることも特長です。

2.約4nmの超極細セルロースナノファイバーによる透明連続シート
セルロースナノファイバーは、その細さから従来の抄紙機でのシート製造が極めて困難でした。これに対し、化学処理技術、製紙技術、シート加工技術を融合した革新的な製造方法を開発し、約4nmという超極細のセルロースナノファイバーを用いた透明連続シートの製造に世界で初めて成功しました(*)。
今回開発した透明シートは、軽量で紙のように折りたためるため、必要なときに開いて使用できる大型ディスプレーや太陽電池などへの応用が期待されます。

3.8.0~85.0g/m2という広い坪量範囲を実現した多孔シート
平均繊維径が数十nmのセルロースナノファイバーを用いた連続シートでは、多孔質材料の機能を決定する比表面積、細孔径、空隙率の自由な制御技術を確立することに成功し、その結果、8.0g/m2の極薄シートの製造に成功し、さらに85.0g/m2までの広い坪量範囲をもつ多孔シートの製造と供給を可能といたしました。
この多孔シートは、比表面積を増加させ高い吸着性を実現した吸着材、細孔径を小さくし空隙率を高めることにより効率的に微細な物質をろ過できるフィルター、良好な透過性を持つセパレーター等への応用が期待されます。またシート内部にナノ粒子を組み込むことにより、触媒、抗菌、脱臭等の機能をシートに付与させることも可能です。

4.セルロースナノファイバーシートの樹脂複合化フィルム
透明シートおよび多孔シートは、樹脂と複合化することにより、樹脂の透明性を失うことなく、温度変化に伴う伸縮が小さく、しかも丈夫でフレキシブルであるという特長を付与できるため、エレクトロニクス、輸送機器、建材、医療等の分野への用途展開が考えられます。
今後、両社は、開発した連続シート化設備を用いて、セルロースナノファイバーシートの幅広い用途開発を視野にサンプル供給を行い、実用化へ向けた製品開発を加速させてまいります。

(*)王子ホールディングス株式会社および三菱化学株式会社調べによる。

<セルロースナノファイバーシートの物性>

  • 繊維径・・・・4~80nm
  • 坪量・・・・8~85g/m2
  • 比表面積・・・・39~148m2/g (コピー用紙の40~150倍)
  • 平均細孔径・・・・8~46nm (コピー用紙の1/100~1/500)
  • 空隙率・・・・35~62%

セルロースナノファイバーシート、樹脂複合化フィルムの写真

透明シート
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透明シート
多孔シート
拡大
多孔シート
樹脂複合化フィルム(多孔シートと樹脂を複合化)
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樹脂複合化フィルム(多孔シートと樹脂を複合化)

比表面積と細孔径を変化させた多孔シートの拡大写真

比表面積40m2/g(平均細孔径8nm)
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比表面積40m2/g(平均細孔径8nm)
比表面積140m2/g(平均細孔径23nm)
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比表面積140m2/g(平均細孔径23nm)
比表面積148m2/g(平均細孔径46nm)
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比表面積148m2/g(平均細孔径46nm)

 

本件に関するお問合せ先
王子ホールディングス株式会社 イノベーション推進本部 紙パルプ革新センター(TEL)03-3533-7006 Email:OJI_CNF@oji-gr.com
株式会社三菱ケミカルホールディングス 広報・IR室 堀江 健太(TEL)03-6748-7140